オールドノリタケの値段ー戦前のカップ&ソーサー販売価格は飯碗の4倍

2011.04.19

写真は、戦前、すなわち昭和10-15年の間に作られた、箱入りの日本陶器製コーヒーセット(ポット、シュガー、クリーマー、カップ&ソーサー6客)である。これに当時の値段表がついていた。
C&S一客85銭、クリーマー85銭、蓋付砂糖入れ1円20銭、ポット3円で、C&Sは6客あるので、合計で10円15銭。これは当時の物価にしていくらぐらいだろうと考えてみる。
森永卓郎監修の『物価の文化事典』によると、瀬戸物、蓋付茶碗が、昭和10年で 19銭7厘、昭和15年には29銭8厘となっている。平均をとるとおよそ25銭ほどである。
上記のようにカップ&ソーサーが85銭であり、これがセットの中にあるカップ&ソーサーだとすると、一個の値段はもうすこし高くおそらく90銭から1円であろう。
と考えると、カップ&ソーサーは飯碗の4倍となる。
すなわち、当時は、国内向けの洋食器であるカップ&ソーサーは、毎日の生活で欠かせない飯碗と比べると、いかに高価であり、ハレの食器であったかがわかる。ちなみに昭和10年の大工の日給が1円89銭である。現在の大工の日給とカップの値段を考えるとその高価さが実感できる。