一番好きなオールドノリタケと聞かれたら

2008.06.05

今週末、日本コーヒー文化学会で「明治時代に日本から輸出されたコーヒーカップ&ソーサー」の発表を予定しており、その原稿作りで、10個ほどの明治から昭和までのカップ&ソーサーを出して写真撮影をしたり、コンピューターに入っている画像を取り出す作業をしていて、ふと、私はどのノリタケのカップ&ソーサーが一番好きだろうと考えた。
陶工としては加藤春光を挙げる。瀬戸の陶工は加藤紋右衛門が一番好きなのだけれど、紋右衛門のはミュージアムピースが多く、私は持っていない。周兵衛も好きだがカップはない。やはり瀬戸を研究しているので瀬戸染付か明治の上絵付けが好きである。となると、やはり春光か。先日西浦焼の展覧会を見て、西浦圓次はきっと優しい性格だったに違いないとおもったが、春光にも同じ思いを抱く。薄い生地に玉子ぼかしの先にすこしピンクを足したような色合いのカップ&ソーサーなど単に当時はやっていたという言葉だけでは片付けられない繊細さである。
ではオール・ノリタケの中でいちばん好きなのは?と聞かれると、何の変哲もない黄色地の風景画のカップ&ソーサーだ。その理由は単純。マイファーストノリタケ。今から思うと何故こんなよくある柄を買ったのかわからないが、私とオールド・ノリタケとの付き合いが始まった大事な一品である。年をとっても初恋を忘れらないのと同じかな