中に絵を描く

2011.06.08

明治から大正にかけてのオールドノリタケを含む日本からの輸出磁器にはカップの外側はシンプルで内側に凝った絵を描かれている。

もちろんこれは日本のオリジナルではなく、西洋の食器にもしばしばみられ、私が見た中では、ロイヤルウースターでボールドウィンが描いたカップの中の鳥の巣と生まれたばかりの小鳥たちが母鳥が運んできたえさをついばむ様子。

日本の輸出磁器の場合はそこまで芸術性は高くないが、それでも外側に描くのと中に描くときの筆さばきの難しさを考えれば、その難易度がわかる。
しかも当時の日本の磁器の場合は、外貨を稼ぐのが一番の目的だから、職人の賃金を安くして、出来るだけ販売国(その多くはアメリカ)で高く売らなければいけない。
それなのに手を抜いていない職人の技。これを見る都度に、日本人が作ってきたものの確かさを感じる。