大倉陶園の白

2008.06.07

大倉陶園の白さは世界でもトップクラスだと思う。マイセンやKPMもその白さが際立つが、透明感においては大倉のほうが上である。
大倉陶園によれば1460度で焼成するとなっており、このガラス化に近い焼成温度が透明感とハリを生み出す。生地の白さが際立つので上絵具を乗せても鮮やかに発色する。写真は大正期のOKURAのC&Sであるが、ペパーミントグリーンの色がこんなに上品なのは生地の素地がよいからである。
大倉陶園の作品を見るたび、「クラス委員」というイメージを抱く。生まれも育ちもよく、行儀も良くて、勉強もスポーツも抜群。いつも背筋がピンと伸びている。ただし品の悪いものを寄せ付けないプライドの高さがある。大倉陶園の関係者の方にお会いしても、誠実で腰が低くて品がいい。
写真のC&Sは典型的なアール・デコのデザインである。一部のアール・デコの持つ大衆的なにおいがまったくしない。選ばれたアール・デコである。シャープな曲線と白磁に塗られたペパーミントグリーンが今の季節にぴったりのC&Sである。