アインシュペンナー(ウィーンのウィナーコーヒー)

2012.03.10

先日来の、『珈琲と文化』に執筆する原稿をまとめるのに、久々にアインシュペンナー(日本でいうところのウィンナーコーヒー)を作った。

作ったというほどたいそうなものではない。耐熱ガラスのカップを用意して、コーヒーを用意して(ほんとうは細かく挽いた深入りがいいといわれるが、私は中挽きがいい。今回はアタカ通商から来たケニアを使った。

ウィーンのホテルザッハーで昔もらったレシピによると、下にザラメを敷いて、熱いコーヒーを注ぎ入れ、上から泡立てた生クリームを100CCほど乗せるとあるが、問題は、生クリームを乗せたら、しばらくは生クリームはコーヒー上に乗っているが、だんだん沈み始め、コーヒーの色が濁ってくるので、泡立てた生クリームを置いたらすぐに写真を撮らなければいけない。

またこの生クリームはかならず高脂肪の(今回は40%を使った)純生クリームを使わなければならない。しかも生クリームを泡立てるときは温かいとうまく泡立たないんで、泡だてるボウルの下には別のボウルに氷をいれて泡立てるボールの底を冷ている。

でもできた直後の冷たい生クリームと熱いコーヒーは最高。

ウィーンのハプスブルグ家に嫁いだエリザベート(シシー)はその体型を維持するために過度のしかも正しい栄養知識が当時はなかったのでまちがったダイエットを生涯繰り返していた。たとえばダイエットと称して高脂肪分の牛乳を毎日飲んでいたのだ。

それに対して、マリアテレジアは、食べることに熱心で、毎日の食事以外に特製のオリオスープと言われるカロリーの高いスープをおやつ代わりに飲んでいた。

エリザベートの方が美しいかもしれないが、私はマリアテレジアの生き方の方が好きだ。その当時にはめずらしく恋愛結婚で結ばれ、11人の子供を産み、なんとかオーストリア領であるシュレージェン地方を取りかえさんと七年戦争にいどみ、なんともたくましい。

ただしマリア・テレジアは知ることがなかったが彼女の死後、娘のマリー・アントワネットは夫や息子とともにギロチンの露と消え、ナポレオンの侵攻を受けたハプスブルグ家も神聖ローマ帝国皇帝位を奪われるなど、彼女が信じていたハプスブルグ家の栄光も勢いを失っていく。

でも、おいしいものを食べずに我慢して、さすらいの人生を生きたエリザベートより、太りすぎと宮廷の医師たちから注意されながらも、おいしいものに目がなかったマリアテレジアの生き方を学ぶ方がエネルギーをもらえる気がする。

とはいえ、アインシュペンナーはカロリーが高いのは事実だし、先日作ったザッハートルテはもっとカロリーが高いので、こんなものばかり作っていないでさっさと原稿を仕上げて、ジムに行くのが一番現実的で健康的であるということはわかっている、、わかっているのだが、、、、難しい、、