高松の蒟醤の山下義人先生と鳥取の白磁の前田昭博先生、人間国宝に

2013.07.20

高松の蒟醤の山下義人先生(『美術工芸の明日を担う20人』の取材時の山下先生。撮影荒木順子氏)

去年出版した『美術工芸の明日を担う20人』で取材させていただいた工芸家の20人の先生方の中から、高松の蒟醤(きんま)の山下義人先生(写真1)と鳥取の白瓷の前田昭博先生(写真2)のお二人に対して文化審議会から人間国宝(重要無形文化財保持者)への答申があった。
 前田先生は大学で白磁に惹かれ、故郷の鳥取で独自に取り組んでこられた。子供のころに朝自宅で起きて窓を開けると畑も山も真っ白になっていて感激し、白磁と出会った頃、子供のころに見た雪と同じ思いを感じたとおっしゃっていた。「中国とも韓国とも違う日本的な美意識の中でぴたっとくる日本独自の白磁がある」と信じて白磁一筋である。
 山下先生は、故郷である高松で長年地元の伝統工藝である蒟醤に取り組まれてこられた。蒟醤の魅力は「材料に頼るのではなく、自分の色が使える」ことであり、蒟醤の技法は「単純な作業ではあるけれど、それをいかに駆使して自分の思いを表現できるか」だと語られていた。
お二人の先生に心からのお祝いを述べたい。

鳥取の白瓷の前田昭博先生(『美術工芸の明日を担う20人』の取材時の前田先生。撮影荒木順子氏)