「グリーンブック」で印象に残った英語
2019.03.12
『グリーンブック』を観た。しみじみと良い映画だった。黒人天才ピアニスト・ドクターシャーリーとイタリア人相棒のトニー”リップ”バレロンガだけでなく、シャーリーとトリオを組んでいるオレグ(ディミティル・D・マリノフ)などの脇役たちの演技が映画に深みを与えている。
トニーのイタリアなまりの英語、シャーリーの教養あるアメリカ人の英語、南部なまりなどいろんな英語が聞けるなかで、印象に残った言葉は:ドクターシャーリーがトニーを諭していう”You never win with violence. You only win when you maintain your dignity”(「暴力ではなにも解決しないよ。尊厳を持ち続けるということだけが勝利への道だ」(拙訳)。
ドクターシャーリーが南部で演奏会前にうわべは穏やかそうに実は黒人に偏見を持つ白人たちとにこやかに握手をしているのを見て、トニーがオレグに「なぜ、嫌いな奴と笑顔で握手をするのだ?」と聞いて、オレグが答える:”It takes courage to change people’s hearts”「彼は人の心を変えことができると信じているからだ」(字幕戸田奈津子)
オレグ役のディミティル・マリノフはブルガリアのソフィア生まれで、5歳の時に天才バイオリニストとして知られ欧米をまわったが、18歳で兵役につき、兵役中に国から政治犯として禁固3年を命じられ、最終的に亡命を決意しアメリカへ移住。あらゆる職業を経験した後に現在は俳優として活躍。2019年のアカデミー賞でレッドカーペットを歩いた最初のブルガリア生まれのアメリカ人とのこと。彼のロシアなまりの英語やドイツ語がオレグという複雑な人物をうまく表していた。