『閃け 棋士に挑むコンピュータ』 人間もコンピューターも頑張れ!

2011.06.05

息子に勧められて『閃け 棋士に挑むコンピュータ』(梧桐書院 2011年 2月)を読み、久々に感動した。

以前、『光芒―夭折の天才たち』を執筆したときに、A級に在籍したまま腎臓の病で亡くなった天才棋士村山聖のことを書いたときに、調査のため棋士に関する本を読み、その中でも特に大崎善生の『聖の青春』と『将棋の子』を読んで感動したので、息子に勧めたところ、そのお返しに『閃け 棋士に挑むコンピュータ』を教えてもらった。

この本は、2010年の秋、コンピュータ「あから2010」と女流プロ棋士・清水市代に挑んだ激闘を中心に書かれたものである。「あから」とは169台ものコンピュータをつなぎ、4つの最強ソフトが「合議」して手を決めるコンピュータの将棋ソフトである。

人工知能とはなにか、それを研究している人たちは何を目指しているのか、プロの棋士とはどのような存在なのかを元北海道新聞記者で科学ジャーナリストの田中徹と講談社記者を経てフリーランスのライターである難波実帆(現早稲田大学大学院政治学研究科准教授)が、探っていく。

この本はコンピュータを過大評価しがちな人たちにその限界を伝え、人間の能力のうちで知能が最上と考えがちな人たちに、人間の生きる力の素晴らしさを説く。

この本を読んで、人間の素晴らしさ、一生懸命生きていくことの価値を改めて感じた