ケンブリッジ、フィッツウィリアム美術館「前漢時代墳墓出土」展 その2

2012.08.15

ケンブリッジフィッツウィリアム美術館で開催中の「前漢時代墳墓出土」展で見たものの中で、惹かれたものの一つがこれ。青銅器の蟠螭文鼎(ばんちもんてい)の形をしていて、でも陶胎漆塗り鉢はこの時期(紀元前2世紀、前漢時代西漢国)珍しいとのこと。蓋は失われているらしいが、二千年以上たって変わらぬ漆の艶。胴部は雲の意匠。脚の上部の朱漆の部分がかわいい。改めて、漆の強さと美しさに感じ入りました。

関西学院大学大学院文学研究科でオールドノリタケなどの明治の輸出磁器を研究したくて社会人入学したとき、指導教官が吉村元雄先生でした。吉村先生が南蛮漆器ご専門だったので、当然ゼミ生、門下生は漆器専門の人が多くて、そのときは、なんでこんなに多くの人が漆器を研究するのだろう?と正直なところその良さがよくわからなかった。
しかし吉村先生の影響で漆工史学会に入れていただいて、また、東京芸大三田村有純先生の知己を得て、現代の漆器も知るようになり、どんどん漆器への興味がわいてきました。

漆の良さを一人でも多くの人に伝えたいなあと今は深く思っています。