村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

2013.05.07

北欧でゆっくり読もうと思っていたのに結局時間がなく日本に持って帰ってきてしまって、時差ボケのまま、さっき村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読み終えた。刊行前からすごい話題になり、どの本屋でも平積みという現象にかなり斜に構えていたのだけれど、読んでみると、素直に心にしみてくる作品だった。特にフィンランドを訪れる情景がいい。ただ、名作中の名作かといわれると、私としては、そういう対象ではなく、学生時代の仲間たちのことをふと思い出したくなるさらりとした作品という感じだった。

高校生や大学生が主人公の本はもう読むのに少し気恥ずかしい年代にはなっているのだけれど、読んでみると惹きこまれていく作品はけっこうある。このまえは『桐島、部活やめるってよ』がそうだった。

今は研究書としてもOut of Africaの作者関連のデンマーク時代の文献を読んでいるので北欧に浸っています。