第58回 伝統工芸展 大角先生ギャラリートーク

2011.09.28

(第58会 日本伝統工芸展図録より転載 「銀打ち出し花器『瀑布』」大角幸枝作)  

今年も日本橋三越で、日本伝統工芸展が始まった。
昨日は金工のギャラリートークがあり、大角幸枝先生が一時間、作品を前に語ってくださるのを楽しみに出かけた。
私の専門は工芸だけれど、工芸の中でも金工は、鋳金、鍛金、彫金などがあり、素材も様々なのでその研究は陶磁器が専門の私にとっては特に難しい。

でも、大角先生の丁寧な説明で一時間あっという間だった。
伝統工芸展は盛況でたくさんのお客様が来られていたが、先生の説明を聞こうという人も多くいて、作品を見ながら先生の説明を聞くので必死になった。
このギャラリートークはとても勉強になる。

ただ、大角先生はとても謙虚な方で他の作品は丁寧に解説されるのだけれど、ご自分の作品については説明がなく、それがちょっと残念だった。
また、いつか先生に今年の出品作品について語っていただきたい。
先生の作品は、「潮満つ」(54回)、「波穂」(55回)など海をイメージした作品がいくつかあるが、今年は水のイメージを銀で「瀑布」と滝の縦線が表現されている。このあたりの変化もまた詳しく聞いてみたい。
大角先生の作品には、女性とか男性といった性差を超えた、先生の凛とした生き方が反映されている気がする。力強いながらも清々した作品である。