『八日目の蝉』をみて
2011.05.28
病院に検査に行った後、思っていたより早く終わり、雨も大したことがなかったので、映画『八日目の蝉』を見た。
主人公・薫を不倫相手の家から誘拐し育てる希和子役は、テレビの檀れいのほうが映画の永作博美よりよかったが、全体として映画は映画なりの迫力があった。
小豆島の風景などは映画のほうがやはり風景がロケの分きれいだし、希和子が薫を連れて駆け込む宗教施設エンジェルホームの衣装などの美術もよかった。
主役の井上真央も、NHKの『おひさま』の主役も現在好演しているが、『八日目の蝉』を見ると、NHKでの演技がNHKに指導されている、NHK向けの番人好みということがよくわかって、映画のほうが自然の演技だった。
また小道具の映し方も巧みである。最初のシーンの希和子がひとめだけ不倫相手の妻が産んだ子供を見ようと留守家に入ったとき、テーブルの上にある、朝食を食べ終わったあとそのままの食器などが、いかにも生活感があり、不倫相手である自分とのかりそめの生活と、妻と過ごしている現実の生活を対比させている。
原作者の角田光代は本人の写真を見ても、どこにでもいそうな感じで、なにかの対談で読んだが執筆するのも09:00-17:00までとサラリーマンが働くような時間帯だったし、この作品をはじめ、登場人物も一見ありふれた人が多い。それなのに出来上がる作品には、底知れぬ凄味がある。
再度、NHKで放映されたドラマのほうも見てみたいと思った