ジャパンとは漆ではなく、漆に似せた倣製漆器あるいはその塗装方法!

2020.09.08

次号の『珈琲と文化』は、アメリカの通販カタログシアーズ・ローバックに見るコーヒーの文化史。

この中で興味深い記事を見つけた。1906年に発行されたカタログにあるコーヒーミルの塗装がjapannedとなっていることである。「チャイナは中国を表すから陶器、ジャパンは漆、だから日本は漆の国」というのは、松田権六もよく言っていたからか、漆について話すとき使う人も多い。しかしジャパンとは漆ではなく、漆に似せた倣製漆器あるいはその塗装方法を言う(と、私は何年も言い続け、それに関する翻訳書(『漆への憧憬』)も出しているがなかなか分かってもらえない!)

 重ねていう、小文字で始まるjapanとは日本の漆に似せて、黒い塗料で塗装することである。イギリスでは、オランダあるいはイギリス東インド会社が日本の漆芸品をヨーロッパに紹介して以来、日本の漆にあこがれたイギリス人たちが、なんとか日本製漆に似せたものを作りたいと研究を重ねた。

このイギリスでは一般的であったジャパニングの塗装を用いたコーヒーミルが1906年版のアメリカのシアーズのカタログ及び1905-1910年の集成版に掲載されている。ジャパン(japanned )で塗装された金属製の壁掛け式ミルの紹介では、写真のように「上部はコーヒー豆を保管する缶として機能し、湿気を防ぐため気密性に富み、豆を必要なだけ挽くことができるとできる」とうたい文句にある。必要量だけミル部分に豆を落として挽くのであろう。難点は洗いにくいあるいは洗えないことであろう。たぶん取り付けたら缶の部分だけ取り外すことは難しいと思われるが当時はあまりそのようなことは気にしなかったに違いない。

こんな風に自分がいってきたことが、その後ふとした形で出てくるとうれしい!こういう時は原稿もサクサク進む!!