三田村先生の漆違い棚の魅力

2012.01.29

土―日と一泊で静岡の安心堂で開催されていた逸品会での東京芸大漆芸科教授、三田村先生の作品を拝見してきた。

今回は先生が日展などに出品されている作品と違って違い棚や衝立などが出されていて、とても興味深かった。

もちろん従来のような作品、たとえば昨年の第50回記念現代工芸美術に出品された「夜空への階段」といった作品も展示されていたが、特に興味深かったのは、違い棚や衝立である。

先生が日展などに近年出品されている作品は、前衛とはいわないけれど、十代江戸蒔絵師という伝統に固執することなく、どちらかといえば前向きで天に突き上げるような大いなるエネルギーを感じさせる作品が多い。

ところがたとえば今回の違い棚などは、新しく出品されていたにもかかわらず、とてもしっくりというか落ち着きを感じる。始めてみた気がしない。きっと購入して家に飾ったとしても、またその家が古民家であったとしても以前からその家にあったかのような感じでとけこむのではないだろうか。

残念ながらマンション暮らしでは、違い棚を置けるようなスペースも予算もないのであるが、もうすこし広い家に住んでいたら、ぜひぜひ買い求めたいと思ってなんども眺めて時間を過ごした。