南蛮漆器とは?―マドリッド装飾美術館におけるNamban漆器展の意義

2013.08.19

マドリッドの装飾美術館で開催中のNAMBAN漆器展に2日続けて通った。一日目は本展覧会の企画者のオビエド大学の川村先生に詳細な説明をお聞きすることができ、2日は東京芸大の三田村先生、小椋先生、小田先生、大学院で研究中の三田村先生の御子息とみな漆の専門家と作品を前にしてお互いの意見を交わしながらの研究を行うことができた。また川村先生にも続けてお話を聞くことができた。今回の展覧会は私の従来の南蛮漆器(日本で作られ、ヨーロッパに輸出された)という概念を再構築する必要のある、非常に意義のある展覧会だった。

もちろん、これまでもスペインルートによる南米に渡った南蛮漆器の存在は知られていたわけであるが、今回は特にそれらの宗教的意義にまで踏み込み、その量が日本人が従来思っている以上に多いものであったと考えられる。

特にメキシコで手を加えられた作品群を見ていると、南蛮漆器とはなんであるのか、我々はどこまでを南蛮漆器といいうるのか、考えれば考えるほど、南蛮漆器について改めて考えていかなければならないメルクマールとなる展覧会だろう。

ただ、川村先生のお話によると初刷の図録はすでに完売で、スペイン文化庁もこんなに売れるとは思ってもいなかったらしい。私はありがたいことに事前に手に入れることができていたが、ぜひとも再版が望まれる図録であり、南蛮漆工史上、貴重な史料であることはまちがいがない。

I went to Namban Exhibition held at the Museum of Decorative Arts, Madrid.
I could hear very important and interesting episode and researches from Professor Kawamura of Oviedo University who planed the exhibition.
And also I could make very rich and significant discussions with Professor Mitamura, Associate Professor Ogura and urushi department members in Tokyo University of the Arts. I have to reconstruct my concept of “Namban” lacquer, which I believed to be “Japanese lacquer exported to Europe”.
Now I think that we should have a global concept for Namban lacquer as huge amount of them were sent from Spain to Southern America such as Mexico, and redesigned for religious items there. Namban lacquer must not be a one way but triangle routed decorative arts.