大樋年朗先生文化勲章受賞
2011.10.25
今朝は朝から頭痛がして体調がすぐれなかったのだけれど、大樋年朗先生文化受賞のニュースが午後から入ってきて、とてもうれしい。
大樋先生は去年、漆芸家の三田村先生の発案で輪島、金沢、高岡の漆器などを訪ねた折に大樋美術館見学の際も、家の中からふだん着のままスリッパをはいてひょこひょこと出てこられ、大樋美術館の主な作品を説明してくださった。
今年の3月に金沢21世紀美術館で開催された第五十回日本現代工芸美術展で東京芸大の青木洋介氏が現代工芸大賞を受賞された折のことである。
せっかく金沢に来たのだから大樋美術館を見学しようと青木先生と話しているところに、ばったり大樋先生に美術館の玄関前でお会いした。
大樋先生は日本現代工芸美術家協会の理事長であり審査主任である。オープニングパーティ前で、お忙しいだろうとは思ったが、せっかくの良い機会なので青木先生をご紹介しようと、大樋先生に、現代工芸大賞を受賞された青木洋介さんですとお伝えすると、大樋先生たちどころに、「ああ、あの漆の球の作品ね」と言われた。
今回入賞した作品(無鑑査なども含めて)703点有り、受賞作品も内閣総理大臣賞から新人賞まで、各工藝分野から合計49作品ある。その中で作家の名前を聞いただけですぐに作品を思い浮かべられるのである。
大樋先生御年83歳、見事な記憶力。さすがである.
授賞式のパーティでも、スピーチをされたが、東日本大震災直後とあって罹災された方々への哀悼の意を表しながらもいつもように短くてしかし味のあるすばらしいスピーチだった。
また、大樋ファミリーがすばらしい。突然にお伺いしてもいつもあたかも約束してあったかのような奥様や御長男の年雄先生の奥様のお茶のお点前とお接待にいつも感激してしまう。
お正月明けにお伺いしたときは、年雄先生の甥御さん、姪御さんの作品も茶室前のスペースに展示されていて、とてもかわいらしかった。
芸術家の妻として、年朗先生の奥様も、年雄先生の奥様もさまざまなご苦労がおありだろうと思うが、いつも工藝と文化の金沢にふさわしい典雅さをお持ちである。
今頃、きっと大樋邸と大樋美術館はお祝いの方々やお祝いのお花で大変だろうと思うが、慶事のお接待をご家族でされていることと思う。心からお祝いを述べたい。