父の思い出と大村智先生ノーベル賞受賞

2015.10.05

大村智・北里大学特別栄誉教授がノーベル医学生理学賞を受賞された。「オンコセルカ症(河川盲目症)」や「リンパ系フィラリア症(象皮病)」の特効薬である薬の研究開発に対しての受賞である。
十代のころ西アフリカで育った私は、当時、紡績関連の仕事に従事していた父が訪れた日本人の方々を誰でも自宅に招き、母が作る日本食の夕餉を楽しんだ。そのときしょっちゅう来られていた方々の間でオンコセルカ、フィラリアなどといった言葉が飛び交っていたのをよく記憶している。

大村教授のお祖母様は大野教授に「とにかく人のためになることを」と繰り返しおっしゃっていたという。

うちの父は特に人類のためにという偉業を成し遂げた人ではない。しかし、そういった研究のためにアフリカを訪れた日本人研究者の方々にほんのひとときかもしれないがくつろぎの時間を提供できて喜んでいたように思う。久しぶりに亡くなった父と会えたような気がしたうれしい大村先生のご業績であり、「人のためになることを」の言葉を改めてかみしめた夜となった。