IMF 専務理事 ストロスカーンの事件に対する各国紙の反応
2011.05.18
IMF専務理事ドミニク・ストロスカーン氏の訴追した性的暴行容疑は極めて重大であり、ことはEU諸国の通貨問題のみながらず、フランスでの次期大統領選、IMFの後継者(彼の5年の任期はまもなく終わろうとしていた)などさまざまな思惑が絡んでいる。
去年の5月のアイルランドの噴火やそれに伴うヨーロッパ各国の空港閉鎖の問題もそうだが、こういうときは各国のさまざまな新聞を読むのがいちばんいい。特に今は電子版をインターネットで読めるのがありがたい。
今回のストロスカーン氏の場合は、アメリカのエコノミスト紙は、アメリカの新聞らしく、彼に手厳しい。JFK空港で逃亡直前に捕まえたのはアメリカ司法の手柄だといわんばかりである。
イギリスのフィナンシャルタイムス紙はもうすこし冷静で、性的暴行は断じて許されるものではないが、まだ容疑の段階であり、他のあらゆる市民と同様、公正な手続きを受ける権利があると述べている。また、IMFの次期専務理事の人選については、各国政府が冷静さを保ち、アジア太平洋地域も視野に入れた欧州以外の人選も指名する余地を残すべきと述べる。
フランスのル・モンド氏は、サルコジ大統領の無言を保っていることについて、まだコメントをいうべきではないとして、国内の次期大統領選の行方について当面混迷の時が続くだろうとする。また、これまでは大統領およびその候補者の女性問題に対してはあまり神経質ではなかったが、今回はかなり厳しくせざるを得ないだろうとのことである。
それらに対して、昨日の(17日付)読売新聞は、「編集手帳」で、ストロスカーン氏については疑いをもたれているとしながらも、ほとんどもう決めつけた論調で、「『IMFとはいい歳をしてもっと分別を』の略ではないので、念のため」とまことにつまらないしゃれで結んでいる。
ストロスカーン氏の容疑が事実なら、許しがたいが、嵌められた可能性もある。それも、ギリシャの通貨危機を巡っての攻防や、IMF次期専務理事の欧州かアメリカから選出かの後継者指名争い、またはフランス大統領選に関しての動きか、、、
離陸直前の飛行機の機内での逮捕はまさにスパイ映画を見るよりどきどきして、今後の経過に、政治的にも経済的にも、野次馬的にも目が離せない。