歌麿の『画本虫撰』を復刻した大倉孫兵衛
2014.04.13
今日の日曜美術館は、66年間行方不明になっていて最近公開された、喜多川歌麿の肉筆画「深川の雪」について。
いつもながら小林忠先生の説明は論理的でありながらわかりやすくて引きこまれた。
その歌麿が草花と虫を描いた風流絵本『画本虫撰』を明治時代に『虫類画譜』として復刻した版元の一人は、
当時日本橋の錦絵版元の大店を営んでいた万孫こと大倉孫兵衛。
しかし彼は今後は浮世絵より貿易だと考えて、森村市左衛門と組んでアメリカにに日本の陶磁器を輸出。
市左衛門の経営手腕と孫兵衛の審美眼が生み出した磁器はやがて、ノリタケとしてその名を知られていく。
また、晩年の孫兵衛は、「良きが上にも良きものを」と考えて大倉陶園設立。
彼の美に対するセンスが近代日本の窯業の大いなる発展の一翼を担ったのは間違いないといえる。