MoMA ピカソなどの一部の常設展示を外して、入国を拒否された国々の作家の作品を展示
2017.02.09
娘から、ニューヨークタイムスの記事読んだ?とのメール:
2月3日のニューヨークタイムスに美術批評家のジェイソン・ファラーゴ氏は、「MoMA(ニューヨーク近代美術館)はトランプ大統領による1月27日発令の7ヵ国難民移民の入国を制限する大統領令に反対して、一番人気のある5階のフロアーの、ピカソ、マティス、ピカビア、アンソール、ボッチョーニ、ブッリなどの常設展示作品を外して、入国を拒否された国々の作家の作品を飾っている」と寄稿している。
その記事を一部抜粋すると「そこにはスーダンの画家Ibrahim el-Salahi、イラク生まれの建築家Zaha Hadid、LAを中心に活躍しているイラン人先端芸術家Tala Madaniなどが含まれており、それらの作業は2月2日の閉館後に速やかに行われた。一般的な美術館の流れからするとこれはきわめて迅速な動きであり(他の美術館も様々な声を上げているが実際の動きとして)、入れ替えが行われた場所には、その理由として『この作品は大統領令により入国を拒否された国々の芸術家の作品です』との但し書きが添えられている。
「これらの迅速な行動を行ったのは、学芸員の強い意志によるものであり、もちろんそれには内外からの異論もあるだろう。これまでのMoMAが築いてきたものとは方向性が違うといわれるかもしれない。しかし、たとえばピカソの『アヴィニヨンの娘たち』がその題材もタイトルも(1916年最初の展示の時は『アヴィニヨンの売春宿 Le Bordel d’Avignon』)も当初物議を醸し出し、いろいろな問題を引き起こしたように、最も大事なことは、そのときに言いたいことがあれば誰かがそれを声に出すということだ。もちろん、MoMAが常に正しいとは限らず、美術館は政治や経済と無縁でいることはできない。MoMAは排ガス規制偽装が問題になったフォルクスワーゲンからの支援を今でも受けている。しかし、先鋭的な美術館であれ、名の通った大きな美術館であれ、事が終わるのを黙って通り過ぎるのを待つか、それとも自分たちの態度を明らかにするのかを示す時期が来ているのではないだろうか。 MoMAの今回の対応は、なるべく多くの国や民族が参加できるというオリンピック型ではないかもしれないが、それ以上に多元的共存であり、過去にMoMAが発してきた言動とは違うかもしれない。しかしそれはトランプ大統領も同様である」と結んでいる。当面、アメリカには足を踏み込みたくないなあと思っていたが、今すぐにでもMoMAを訪れたくなった!(抄訳は井谷によるものであり、間違いがあればすべて責任は私にあります)